第3話 - 銀 幕 - Aパート

作:バランスさん



      ・・・彼等は諸君を欺き
      犠牲を強いて家畜の様に追い回している!
      彼等は人間ではない! 心も頭も機械に等しい!
      諸君は機械ではない!
      人間だ!
      心に愛を抱いてる
      愛を知らぬ者だけが憎み合うのだ!

   (映画・「チャップリンの独裁者」より。独裁者ヒンケルに取り違えられた
    ユダヤ人の床屋がヒンケルとして行う演説の一部より抜粋。)



        薄茶色のゴワゴワした紙袋は程よい重さで、それを持つ手に買物と言う行為に特有の満足感をもたらしてくれる。
重さにしてせいぜい1〜2kgのデニム地。それはかつて人類が享受した、豊かな産業文明の賜物である。
もはやこの種の物が工場で生産されていない今、その値段は高騰する一方だ。
このジーンズを身につけることはアンディーにとって、高尚な趣味に属する事なのだった。

「買って来たぜ」頼まれたジーンズとその他のこまごました補給品(人間のだ)を手に、
大型装甲バス・アルバトロス号の13メートルの巨体の前部に位置する、雑然とした乗員用キャビンに入る。
「相変わらずだな、少しは片付けろよ」グレッグは顔をしかめた。
運び屋としての評価とは裏腹に、アンディーは自分の私生活となると、てんでだらしがない。
飲み捨てた酒ビンや着古した下着が無造作にそこいらに散らばって、二人掛けシートを並べた仮設寝台の周りには、
物好きにも行きずりのトレーダーから言い値で買った、大破壊前の古い雑誌がうずたかく積み上げられている。
「いいの有ったか?」
 物憂げにたずねながら、擦り切れたトランクスにTシャツをはおったままの姿でアンディーが袋をあけ始めた。
きれいに折りたたまれたジーンズには背骨の当たるくらいの位置に、色あせた緑色の番号札がホッチキスで止められている。
 そう。このジーンズはかつてのクリーニング工場跡から、返送のためにビニールで梱包された状態で発掘されたものなのだ。
「いい感じで色落ちしてるな、サイズもばっちりだ」値段の割にはよい物にめぐり合ったと、アンディーはご満悦だった。
「すげえ、赤耳だ!!」裏地の縫い目を見たアンディーが、悲鳴に近い声を上げる。
「おれにはさっぱり解らん」グレッグは溜息をついた。

 パインブリッジくらいの大都市になると、ハンターの使う武装した車輌は町の中への乗り入れを認めてもらえない。
アルバトロスとファブニールが今駐車しているのは、町の入り口に設けられた半地下式の巨大な駐車場の中だ。
 この手の駐車場は大抵、ハンターオフィスとレンタルタンク屋との共同管理になっているのが普通だ。
最初にゲートをくぐるときに、ハンター用のIDを記録したキーカードが発行され、
後はそのカードを提示すれば滞在中は自由に駐車場を出入りできる。
同時に、街中で買い物をするときのための各種カートの貸与や、隣接ドックでの修理等のサービスも受けられる。
いわば大都市だけの恩恵だ。

 現在の駐車数は、ざっと10台ほど。
その殆どはハンターの車だが、装輪式の装甲車やバギーなどの小型車輛の間では、彼らの二台の車は一際目立っていた。

  「アルバトロスは修理に出さなきゃあな」
 おろしたてのジーンズにはき替えたアンディーが、グレッグの少し後を歩きながら言った。
先だっての「地獄猫戦車」との戦闘で、アルバトロスの側面には、76,2mm徹甲弾の爪跡が黒々と残っている。
シャシーやサスペンションにもかなりの損傷を負っている事は間違いなかった。
 運び屋をもっぱらの生業にしている彼にとって、車に傷がついていることは、輸送の安全についての信頼にも傷がつく事だ。
ましてや、トラブル知らずを看板にしてきたアンディーである。
「地獄猫」の一件は彼にしてみれば全くの災難だった。
「ついてないぜ」
「ぼやくなよ、アンディー。オフィスで調べたら、あの猫ちゃんには賞金がかかっていたんだ。山分けにしようぜ」
お前にはその権利があるんだからな。グレッグは後半を口の中で呟いた。
権利うんぬんなどと言えばアンディーはかえって頑なになる男だ。
 総額12000G。半額で6000。
左程の金額ではないが、それだけ有ればアルバトロスの修理ぐらいはどうにでもなる筈だ。
「すまん、助かるよ。だが、問題はスチュアート母子だな。俺は途中で荷物を放り出すのが一番嫌いなんだが、
 相手が生きている人間となりゃ、旅程はあっちの都合が優先だからな」
アンディーはひどく落ち込んでいた。
「二人の宿まで出向いてみよう、こっちだけで色々考えてても仕方ないさ」
普段陽気な男だけにふさぎ込むと始末が悪い。
グレッグはいつもアンディー自身が自分に対して取ってくれるような態度で話しかけていた。
それがグレッグが知っている最良のやり方だからだ。
「そうだな、客抜きでこんな話をしても仕方ない。何にしても、宿に顔を出すように言われちゃいるんだしな」

 スチュアート母子は町に着いてすぐにアルバトロスを降り、この町で一番大きなホテルにチェックインした筈だった。
二人は少し明るい表情になって駐車場のゲートへ向かう。
グレッグはふと昼過ぎに別れたばかりのアリサ・スチュアートを思い出した。

 信じ難いような操縦技術と、ヘヴィーな車載部品から繊細な電子機器まで巧みに取り扱う技能とを持つ、ほんの子供と言っていい年の少女。
(惚れたかな)
 苦笑しながらかぶりを振る。
20歳かそこらの頃なら夢中になっていたかも知れないが、今のグレッグにはむしろ行方不明の愛娘、リサと重ねて見てしまう部分が大きいのだ。

 ゲートの所までやって来ると、ちょうど新たに一台の戦車がチェックを済ませて進入ゲートをくぐった所だった。
 真新しいダークグリーンの車体。背の高い四角な箱型の砲塔には、両側面に細身の機関砲らしき物をマウントしている。
砲塔前面には丸みを帯びた形のレーダーが見てとれ、いかにも高性能な感じのする戦車だ。
「ゲパルトだぜ」アンディーがそちらを示してささやいた。
「知ってるのか。あんな戦車始めて見たぞ」
「オフィスのコンピューターで広告を見たことがあるんだ。最近どっかのハンターが昔の軍事工場跡で手に入れた設計データを元に、
 フォンダ市あたりのドックでレンタル用に何台か製造してるって話だったが・・・」アンディーは首をひねった。
「ありゃあ個人所有みたいだな」
なるほど。どこにでも金持ちと言うやつは居るものらしい。
フォンダ市といえば、ここから200kmほど東に有るこの地方随一の重工業都市だ。
大破壊前の資材が残っていて、もっぱら戦車のエンジンや重火器類を年間に極少量生産しているとは聞いた事があるが、
戦車丸ごとの生産が始まっているとは初耳だ。

「俺達には高嶺の花ってとこだな」グレッグはにやりとしながらアンディーの脇腹を肘で軽くつついた。
ゲパルトとやらは、買えばさぞや目玉の飛び出るような値段に違いない。
比較的いい状態の中古車輌をただ同然に手に入れた、自分やアンディーはそう言う意味では恵まれている。
レストアに掛かる費用を別にすればだが。
 駐車場を出るときにもう一度振りかえると、その戦車からは3人の乗員が降り立つ所だった。

ホテルとは名ばかりの廃ビルを改装した建物は、何かの爆発で吹き飛んだらしい上層フロアの壁の名残をとどめて、
宵闇をバックにその奇怪な姿を街の灯に照らし出されていた。
 その3階にあるツインルームで、グレッグ達はスチュアート母子とテーブルを囲んでいた。
「俺の傷が治るまでこの町に?」
サマンサの解答はアンディーをひどく混乱させた。
無理もない、仕事を途中で放り出す事をおそれていたのに、スチュアート医師はアンディーが治癒するまでこの町にとどまると言っているのだ。
「そうよ、治療中の患者にバスの操縦を強いる事も、別れて自分の目的地に向かう事も、どちらも私にとってはナンセンスだわ」
サマンサはきっぱりとそう言い放った。
「私は医者なんですからね。せいぜい一週間の辛抱だけど、その間は私の指示に従って治療に専念してもらいます。
 歩き回るのは最低限にして清潔と安静を保ち、ガーゼは毎日取り替える事」
そしてその次の台詞はアンディーをこの世で最も惨めな表情にさせた。
「当然お酒は一切禁止よ」

「だ、だが先生、あんたはこっからずっと北のロングフォードで開業するんだろ、早く行かなきゃならないんじゃないのかい?」
アンディーはなおも聞き返していた。
 ロングフォードに医者がいないわけではない、とサマンサは言う。
自分が行かなくて困るのは、一軒で大勢の患者を受け持つ、かの街の病院だけだとも。
「冷たいんだな。医者が多いほうが患者にとってはありがたいんじゃないのか」
グレッグはそう突っ込んでみた。サマンサの物言いにはなんとなく矛盾した所が有る、そんな気がしたのだ。
「・・・畑違いなのよ。私の専門は外科です。でもロングフォードの病人の多くは化学工場の仕事で内臓障害を起こした労働者たちだわ」
「なるほど。あそこには農薬や肥料を作ってる工場が多いからな」
 荒れ果てた大地に作物を実らせられるようにするために、多くの男たちが身体を犠牲にして働いているのだという。
作ってて体を壊すような物を撒いた土地から、安全に食える物が採れるのかとも思うが、
取りあえずサマンサの話は聞く限りでは筋が通っているようだった。
ハンターなんぞやってると、何にでもトラブルの匂いを感じちまうのかもな。
胸のうちでそう呟いて、くすぶりつづける疑念を押し込める。グレッグはサマンサの裏についてしばらく気にしない事にした。

 グレッグ達が宿をとったのは、ハンターたちが集まる酒場やパーツ屋が建ち並ぶ場末のほうに近い一角で、
夜が更けるまでは騒がしいのだがさすがに朝の早い時間には、ひっそりと静まり返っている。
 昼近く、ようやく町が動き始めた頃、グレッグは部屋のドアをノックする音で目を覚ました。
「アンディーか?入れよ」
答えながら壁の時計を見る。あまり正確ではないが11時前後だろう。
もうこんな時間かと溜息をつきながらベッドを降りる。
「アンディーじゃないわよ」ドアの向こうの返事はアリサの声だった。
「じゃあちょっと待て。着替えが済んでない」
グレッグは大慌てでズボンに足を通し始めた。

 ドアを開けて横を見ると、アリサは壁に背を向けてもたれるように立っている。
「買い物に行くんでしょ?」斜め上を見上げる格好で言った。
そう言えば昨夜アンディー達が話している横で、問われるままに今日の予定を教えたんだっけな。グレッグは耳の後を掻いた。
「・・・そうだ」
「私も連れていってくれない?ママは医者の仕事は手伝わせてくれないの。一人で部屋にいたってつまらないし」
「構わないが、戦車の部品やショットガンの弾を買いに行くのもそんなに面白くは」
言いかけて思いなおす。この娘はむしろそんな物が好きなのかも知れない。
「・・・はぐれるなよ」
「私もカートに乗るから大丈夫よ」
さも当然そうにそう言うと、アリサはグレッグの後を追った。

 駐車場で貸してくれたのは、ごついタイヤを二本づつ履いた4輪のエンジンつきカートで、
サスペンションを不整地用に取り替えて装甲と武装を施せば、十分戦車として使えそうにさえ見える大型のものだった。
「3トンまでの荷物ならどうにかなりそうね」
オレンジ色に塗られたカートの、クッションの悪い座席に上がりながら、アリサはそう評した。

「東部じゃあどんな風に暮らしてたんだい?あんなうまい操縦は見たことがない」
カートの横を流れていく街の雑踏に目をやりながらグレッグはアリサに話しかける。
「戦車の操縦は10時間ほど教習を受けただけ。近所のドックで週2日働いて、後はコンピューター技術の学校に通ってたわ」
「たいしたもんだな。その腕ならハンターか、それがいやならメカニックの資格が取れるぜ。
 やってみたらどうだ?ハンター暦5年以上の者の推薦があれば、試験の一部は免除される」
 お袋さんとは同じ道に進む気も無いんだろうしな、とグレッグは口の中でつぶやいた。
年頃の娘の常といえばその通りだが、アリサは母親に対する反発が強いように思える。
「ハンターかあ。・・・考えてみる」
頭の後ろに腕を組んで空を見上げながら、アリサはそう答えた。

 商店街には意外なほどたくさんの商品がおかれていた。
工場設備の破壊や資源の供給停滞によって、ほとんどの重工業が産業として維持できなくなった現在では、
このパインブリッジで行われているような発掘と、トレーダーの中でも特に「スカベンジャー」と呼ばれる者達による
資源リサイクル活動―つまりはゴミ拾い―が工業製品の供給手段のほとんどを占める。
オーバーホールが追いつかないほどに破損し放置された車輛や、砂漠に埋もれた工場の製品ストック。それらはいわば現代の金鉱脈だ。

 スチュアート母子のことを考えるとグレッグの思惟は、自然に自分の親のことに向かった。
(・・・親か。俺もこうして生きている以上は、親がいたんだろうがな)
 グレッグは両親の顔を知らない。
物心ついたころにはこの街で、当時街を牛耳っていた地方ボス―武装した部下を抱えて領主気取りだった―に管理されて
電子部品を地中から掘り出し、その日その日を暮らしていたのだ。

 15の時に一人のハンターが一味を壊滅させ、町を解放するまで。
この町はグレッグの故郷だ。だがグレッグは、この街があまり好きではない。

「こっちの方が軽そうじゃない?」
「駄目だ、筐体がヤワ過ぎる。HESH(粘着榴弾)でも食らったら衝撃ですぐオシャカだな」
「でもそれ重いし、処理も遅いわよ。CPUだけでも積みかえられないかしら」
商店街の一角、主に車載用の電子部品を扱うパーツ屋で、二人はファブニールに積むCユニットを物色していた。
幾つか並べてあるユニットはいずれも発掘した部品からこの街で組上げた、この時代における意味での新品だ。
 グレッグが買おうとしているのは、比較的安価なパーツで組んだ本体に最低限の射撃統制ソフトと、
戦闘時の機動プログラムを自作できるツールを搭載した、「エイダ(ADA)101」というユニットだ。
一人で戦車を操るには少々ハンターの負担が重いものだが、とにかく衝撃や熱に対して耐久性があるのが強みだった。
価格1200ゴールド。今のグレッグにとってはこのくらいが手ごろなところでもある。

「どの道今の段階では、ファブニールの全てを統制する程のシステムは見込めない。
 だからいずれはもっと高性能のユニットに換装するにしても、今欲しいのは稼ぐ間ちょっとやそっとでは壊れないような丈夫なやつだ、
 解るかい?」
「そういう事なら確かにこっちがよさそうね。でもそれじゃあ、車体のダメージはどうやってチェックするの?
 あまり沢山のセンサー情報を処理するのは、このユニットでは無理よ?」
「ファブニールが立てる音を、耳で聞くのさ」
「できるの?そんな事」
不可能ではない。そう答えるグレッグを、アリサは奇妙な物のように見つめた。

 「エイダ」を梱包してもらうのを待つ間、ファブニールに使えそうな各種のネジを買い漁って戻ってくると、
カートの番をしていたアリサが二枚の紙片をグレッグの方に突き出して見せた。
「これ、どうしよう?」
「何だ、こりゃ」
「今の店でくれたの。エイガのチケットだって」
グレッグはそこに活版で印刷された文字をのぞきこんだ。

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        鋼 鉄 の 幻 影

    大破壊以前の人類の文化遺産「映画」が蘇る!!

    各地の廃墟から収集されたフィルム、ヴィデオの断片から
    可能な限り復元され再構成された旧世紀の総合娯楽。
    現代的に解釈されたストーリーにそって、原形を極力損な
    わずに編集、音声の一部を新規録音。

    ハンター必見!!
    戦車!戦車!戦車!無数の戦車が戦場をかける!!
    戦車の原点、ここにあり!

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    主催:人類文化復興学会パインブリッジ支部

    テアトル電気館1階ホールにて本日より先行上映
    入場料:30ゴールド・本券持参の方3割引き



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「・・・面白そうだな」
グレッグは柄にもなく、その映画とやらにひどく興味をそそられた。
娯楽といえば場末のテントで営業するストリップまがいのダンスショーくらいしかないご時世に、
これだけ手の込んだことをする連中がいることに感動すら覚える。
「行ってみよう」
二人はカートと荷物を駐車場に預けると、早速その上映場所に向かった。
20メートルほど後の廃ビルの上から、3対の目がこちらを窺っている事には二人とも気づいてはいなかった。        


 薄暗い「テアトル電気館」のホールに入ると、古いキャンバス地のスクリーンに投射された光の中で、
砲身に日除けカバーをかけた戦車が古めかしい町並みの中をゆっくりと走り回っているところだった。

 周囲の暗がりを見まわしてグレッグは舌打ちした。
(汚いな)

 客のほとんどはハンターではなく、娯楽に飢え暇を持て余した、町の住人達の中でも特に犯罪すれすれの仕事に携わる連中のようだ。
グレッグの立っている通路から三つほど奥の座席では、映画そっちのけで上半身をひん剥いた女と絡み合っている男さえいる。
体液の匂いが鼻をついた。
(教育上よくない)無意識に父親の感覚になっていた。
アリサの手を引いて前列の方、スクリーンからの反射でやや明るい辺りへと向かう。
「あの戦車、ファブニールに似てない?」画面のほうを見やってアリサが言った。
「そう言えば車体の感じや転輪の並び方がよく似てるな。設計思想が共通なのかもしれない・・・っと、ここ、空いてますか?」
通路際に座った大柄な男―多分ハンターだろう―にグレッグは尋ねた。その男の隣が二人分空いている。
男は黙ってうなずき、グレッグはアリサとその男の間に入る形に座った。

「さっきのあれはパンターと呼ばれる戦車だ」
突然、隣の大男が口を開いた。
「第二次世界大戦と呼ばれる戦争で、ドイツという国が作った優秀な戦車だった」
うれしそうに話す男は、最初の印象ほど無口というわけではなさそうだった。
「お詳しいですね」
グレッグはそっけない風を装って答えた。
画面の中では黒い服を着た軍人らしい男達が地下室のような場所で足を踏み鳴らしながら、古風なメロディーの行進曲風の歌を歌っている。

「パンターによく似た戦車って、あんたのか。じゃあ駐車場に停まってる、あの緑色と茶色のまだら模様の怪物がそうだな?」
「そうです」グレッグは仕方なく答えた。
「とすると、あんたがグレッグ・マイヤーか。
 噂になってるぜ、Cユニットも積んでないキングタイガー重戦車で戦いつづけてる大馬鹿野郎がいるってな」
 これを観終わったら早いところ「エイダ」をファブニールに装備してしまおう、とグレッグは穏やかならぬ心境になった。
「そう嫌そうな顔をするなよ、あれはいい戦車だぜ」
静かにしやがれ!と前の席から小声で罵声が飛んできた。大男が苦笑いをする。
「俺はキーロフ、セルゲイ・キーロフだ。気を付けな、あんたの事をあちこちで聞いて廻ってるヤツらがいたぜ」
席を立って詰め寄ってきた先ほどの罵声の男を、小脇に抱えて連れ出しながら大男はグレッグに呼びかけた。
「その内に、組んで仕事がしたいもんだ。そっちのお嬢さんにもよろしくな」
小脇に抱えた男のモヒカン頭を手で撫でながら、話し掛けているのが聞こえた。
「さあ、外でゆっくり相手してやるぜ」

画面では軍服姿にチョビ髭の小男が、地球儀の形の風船を尻で天井のほうへ跳ね上げたところだった。



琥月の感想

バランスさんの小説、「ネメシスの動輪」の第3話が送られてきました。

今回は長いようで、まずはAパートの公開です。
いつもとは違い、今回は戦闘がないのでハンター達の日常といったところでしょうか。
ほのぼの・・・とは言いがたいですね。(^^;
映画を見る時出会った大男、セルゲイ・キーロフ。
セルゲイ・・・と言えばロシアの方の人の名前でしたっけ?(どうでもいい)
キーロフが言っていた、「グレッグの事を聞いて廻っているヤツら」とはいったい・・・
続きが楽しみです〜
バランスさん、ありがとうございました。m(_ _)m

あと、これもバランスさんから来た小説を手直ししています。
僕の判断で改行をして、誤字、脱字であろうというものを変更しています。
行間については元の通りにしたつもりです。
改行についてはやり直せと言われれば直します。(^^;

バランスさんへの感想はこちらです
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